扉の向こうに見えたのは。

 霧の立ち込める、森。

「え・・・」

 夢で見たそのままに。

 女の子と男はいないけれど。

 行きたくない。とそう言おうとして彼を振り返ろうとしたがものすごい力で背中を押される。

「きゃぁっ!落ちる!」

「早く!奴が来る!叫ぶ暇があったら早く降りてくれ!」

 ドカッ

「ひゃぁぁぁっっっ・・・・・・・っ痛ぁ・・・・」
 
 草の上に転がったまま、押された方向を見上げる。どうやら巨大な樹のうろが先ほどの扉に繋がっているらしい。

 で、そのうろから地上まで1メートル以上の高さがある。

 そこからあたしを蹴り落としたクソ野郎は、涼しげな顔をして優雅に飛び降りてきた。

「はぁ、危なかった」

「とりあえずあたしに謝れ」