とりあえず荷物を持って帰らないと。
 あたしは教室の扉に手をかける。

 家庭科の授業中の為、教室には誰もいない。
 筈だった。

 教壇の前の机に背を向けて座っている人影がひとり。

 白い長い髪が、開け放した窓から入った風で靡く。



 ゆっくり
 
 その人は
 
 振り返る。






「あきる。探した」




「・・・れ ん?」



 ドサッ

 あたしの手から荷物がすべり落ちて

 床に当たる音がやけに

 響いた。