コンコンコン。

「失礼しまーす」

 保健室の扉を開くと、つんと消毒液の匂いが鼻をついた。

「あら。どうしたの」

 保険医が振り向く。

「なんかちょっと」

「あ、そ。とりあえず熱はかってみて」

 仮病だと思われてるんだろうな。
 
 とりあえずもらった体温計を脇に挟む。

「あ、そうだ。先生」

「なぁに」

「同じ夢をずっと見る場合って、精神科とかいったほうがいいの?」

「はい?」

「だから。ここ最近同じ夢を見るんです。」

「んー。夢とかはわたしの専門外だから詳しいことは言えないけど。なんか悩みがあるんじゃないの?」

 これって模範解答、なのかな?
 一応、学校の先生兼カウンセラーだもんね。
 でもあたしが求めてた答えじゃないみたい。

「これといって悩みはないし・・・」

 ピピピ・・・
 体温計のアラーム音が鳴った。

「はい、見せて。あら」

「ありゃ」

「38度5分はちょっと高いわね」

「じゃあ、帰って寝てます」

「そうしたほうがいいわね。担任には連絡しとくわ」

「ありがとうございます」

 あたしは保健室を出て教室に向かった。