(一、桜井先輩による見解)
大学の食堂にて、久々に顔を合わせた奴は
「あ、監禁してて大学来れませんでしたっ!」
「………」
などと、陽気な笑顔で耳を疑うような欠席理由を言われてしまった
事実究明に至りたい為、再度、俺は時任と対話していた訳だが
「先輩に言われた通り。俺、彼女に異常と名の付く愛をしていたんですよ。
――でも、気づいたんです。それがなくとも、彼女は俺を愛してくれるっていう、深い愛が」
「…………」
馬鹿だ
図らずも、口から出そうになったが、体裁上故に言葉を呑み込む
上手い具合にまとめているようだが、やり方が間違っている
俺が言いたかったのは確か
異常なほどに愛してやれ
で、あって
異常と名の付く愛をしろと言ったつもりはない