(一)
朝、そして現地は彼女の家の前
俺の質素なアパートとは違う、家族と同居の為の一軒家だ
その家の塀にもたれかかって、俺は彼女を待っていた
一日にして監禁生活終了かっ、と思いきやこれもこれで監禁の為だ
今日は、着替えとかそんなのを取りに来た
監禁の人を外に出すのはいけないと俺は勿論嫌がったが
『あんた、金あんの?』
とか言われてしまったら、何も言い返せない
二人分の食材を買っただけで、かなりの損失なのに、そこで彼女の着替えやら何やらを買う金なんかない、破産する
なので、仕方がなかった
世の中、やっぱり金だなぁと朝方の空を見上げた
……金、降ってこねぇかなぁ
そう白い息を吐いていれば、車のエンジンが近付いてきた