校外指導なんて名ばかりで、繁華街の一角にある喫茶店で、タバコに火を付けた。


指導した所で、生徒達が真っ直ぐ家に帰るわけでもないしな



俺だって学生の頃、放課後が待ち遠しくて仕方がなかった。


そんな楽しみ奪っちゃ可哀想だろ


とは思いながらも、窓から制服を着た奴らを目だけで探すと、早速ゲームセンターにたむろしている男子生徒を見付けた。


…おっ、楽しそう


今度は二人乗りで走り去る男女の姿。


…おっ、ラブラブ


まぁまぁ恋愛も青春のうちだ。



教師になって四年

担任のクラスを受け持って二年


生徒達とはうまくやっている。

慕ってくれる生徒たちに、自分も頑張ろうって気になる。

頼りになる生徒もいるし…

頼りになる…

しっかりものの学級委員。




人間観察に飽きてきた頃、ウェイトレスがコーヒーのお代わりを持ってきた。



「お代わりいかがですか?秋吉先生。」



「ああ、ありがとう…っ、!?…きみ…っ、」



自分のクラスの生徒のバイト先を把握していなかった俺は、どうみても校外指導しているようには見えない姿を


よりによって



「さっ、佐山、」




学級委員である彼女に見られてしまったのだ。