…手を出したって…そんなの嘘だよ


思った通りの反応をした私に満足したのか、紀之は話を続ける。



「まぁ…お前も食われて捨てられないように気をつけろ。…その前にそんなことしたら、クビだよなアイツ。」


…そんなの何が本当かわからないよ。


だって先生は、抱き付いただけでドキドキするんだよ?


キスした時だって、余裕なんかないくらいに動揺してたんだよ?



そんな噂なんか気にしない


でも…先生に迷惑がかかるのは嫌だ。


クビなんて…絶対イヤ





「私は…先生のお気に入りなんかじゃないよ。だから紀之が心配するようなことなんかないって…」



ちゃんと笑えてる自信はある。



「私が勝手に好きなだけだから。」


そばにいたいからこそ、抑えなきゃいけないものもあるんだ。



好きになるって、そういうことなんだ…。



自分のせいで、先生が苦しむのは嫌だ。


でも…好きでいたいよ、先生…