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灯りの消えているリビングに座り、冷えたパスタを食べた。
二人暮らしになってからの方が料理するようになったお母さんは、最近また忙しくなって、家を空ける時が多い。
一人で過ごすのも、遊びに出掛けるのも、気が向いた時に好きなように出来る。
一人でいても何とも思わなかったのに、何でこんなに寂しいんだろう。
溜め息なんてついたりして、どうしちゃったんだろう私。
もっと簡単に行くと思った。
強気でいられない自分が嫌になる
何も考えたくなくて目を閉じたら逆効果だった。
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「…ゆう…り、…優梨…」
聞き慣れた声と、体にかかる重みに薄く目を開ける。
「悪ぃ…遅くなっちゃった。」
言いながら、耳の輪郭をなぞるように這わされる舌。
「…紀之…んっ…」
「…鍵…いつもんとこに…あったから」
「…はっ…ぁ」
舌の動きを止めずに言うから、紀之で濡れた耳に息がかかって熱くなる。
「…ちょっ…まって…」
下から見る紀之の顔が色を含んでいて、押し返した私の手は無駄な抵抗に終わる。
「制服…皺になっちゃう」
「…お前が…悪い…」
隠すものがなくなった私の胸に顔を埋めて、キスの合間に動く器用な舌先。
「…やぁっ…、はぁっ」
「いきなり呼び出して…、寝てるし…制服だし…眼鏡だし…」
隙間から入る紀之の指が、キスとは違う音をたてる。
「誘ってるとしか思えねぇっつぅの」
「あぁっ…ねぇ…待って」
考えるよりも先に勝手に体が反応する。
濡れた指先を見せられて、止めてなんて言えなくなってしまう。