「俺にも遼太郎と同じ酒ちょーだい」
学生時代からの付き合いのこの男、しがないサラリーマンとクラブDJの2つの顔を持つ、マイペース人間。
「お前そんなに酒飲んでいいのか?」
奥でシンの行動を心配そうに見てるここのオーナーが気の毒だ。
相変わらずコイツの気紛れに振り回されているんだろう。
「俺と飲みたいから来たんだろ?」
「そうだけど、ちゃんと金貰ってんだから仕事してこいよ。」
「…カートリッジ取り換えといてっつったのに、やってなかったからやる気失せた。」
…ヘソを曲げた理由はソレかよ
俺の腹に入る筈だったクラブサンドを美味そうに食いながら悪びれる様子はない。
「やっぱ美味いなぁ、そういや彼処のマスター元気?」
「この間、お前の話したら会いたがってた。」
学生の頃はコイツとよく行った、俺の隠れ家とも言える喫茶店。
今も昔も変わらないマスターの味、変わったのは…
その空間に佐山優梨がいること