好きだって言ったら、おちゃらけて好きだぞって返して


抱き付いたら、ドキドキしてるくせに、抱き返してはくれない。


黙り込んだら、お得意の正論を語り始める先生。


心の内を簡単には見せてくれない先生に、本当の自分を出していない私がイラつく。


携帯を口実に離れた温もりに寂しさを感じた。



…こんな時間にどこ行くの?


…誰と会うの…?


こんなに他人の行動が気になったのは初めてで、どうしたらいいかわからない私は思ったままに聞いてしまう。


はぐらかされて、付いていこうとするなんてどうかしてる。




『優等生はもう寝る時間だろ。あんまり困らせんなよ。』




馬鹿みたい


何で私傷ついてんのよ



「先生…、私優等生ですか?」


「…?だろ?」


「先生は優等生が好きですか?」


不思議そうな顔をしている先生は、私なんかより人生長く経験してるのに、人の気持ちに鈍感なんだ。



先生が鈍感なお陰でやっと気付いたよ。



この卑しい気持ちも、傷付く原理も、淡い気持ちも全部、…何から来るものなのか。



それが叶わないものだなんて思いたくない。



先生に背を向けて、無言で門を開けた。



今振り返って、もう一度抱き付いたら、先生はどんな顔するかな



もし突き放さなかったら、私は私なりに進むだけだ。



言葉で伝わらないなら


態度で示そうよ




「…っ!佐山っ…」




…ほら、やっぱり



「優等生だって、恋くらいするんです。」




だから私は先生への攻撃を止めるわけにはいかないんだ。