「へー、兄貴が連れてきたオンナって、あんたか。」

いつもとタイプが違うけど、可愛いじゃん。

軽い調子で声をかけられた。

お茶の後で庭を散策するのを許可されて、外に出ようと廊下を歩いていた私(勿論見張り(兼案内)付き)。

男が発した“兄貴”という単語に興味を惹かれて、そちらを見る。

(うわ、似てな…)

共通点は、褐色の肌とチョコレート色の髪の色だけ。

街長は、サラサラの直毛だったが、弟(?)の方は、フワフワで柔らかそうな髪質。

「あれれ?ミゲルさんのあまりの格好良さに、思考停止かな?このお嬢さんは。」

「ミゲル?」

知らない名前に首を傾げた。

「あ、オレね、ミゲル・カッセル。」

緑色の瞳が、面白げに煌めいた。

(瞳の色は違うな…。)

「ミゲル様、その辺になさって下さい。この方はハイン様のお客様です。手出しは無用に願います。」

「あれれ、ミゲルさんてば、信用ないんだ?」

見張りの人が、ミゲルと私の間に遮るように立つ。

「いえ、そういう訳ではなく、リール様は…」

「へぇー。リールちゃんっていうんだ?よろしく」

「ミゲル様っ!」

見張りの人が声を荒げる。