その言葉に、沈黙でもって不満を返す。

街長は、少し怯んだようだ。

「おやおや、貴女には、女性が喜びそうな手管は、あまり通用しないようですね…」

「意味がない。」

「意味…とは?」

「誰も喜ばない」

ふふふ…。街長は微笑む。

「ワタシは、喜びますよ?」

「嬉しくない」

「そのうち、そうも言ってられなくなるでしょうがね」

街長は、今度は企む様にほくそ笑む。

(笑い顔だけでも、こんなにバリエーションが有るものなんだ…。)

うっかり、変な所で関心してしまう。

今まで日常的に見ていたのは、裏の無い笑顔だけだった。

寒くも無いのに、足下から震えがくる。

私が、それ以上何も言わないのを街長は悟ると、そのまま椅子から立ち上がる。

「ところで、ハンストも程ほどにしておいた方が良いと思いますよ?」

街長は、扉から出て行く前に、そう私に言った。

何か混ぜられているのが怖くて、ここに来てから食べ物を口にしていなかった。

どうやら、それをハンストと思われていたらしい。

しかし、いい加減お腹が空いたし、これ以上食べないままだと倒れてしまうかな…。

私は焼き菓子を一つ手に取り食べ出した。