そんで俺は今、放課後の学校内を走ってる。
教室という教室はだいたい見たし、城山愛とは連絡とれねえし。
あー疲れた。
ここが最後の教室か。
思い切りよく扉を開く。
教室には、数組の男女がいた。
俺を見た女が群がってくる。
「どうしたんですの?爽サマ」
「普通科に来るなんて珍しいですわね」
……確か、ここ西園寺華のクラスだよな。
なんか知ってるかも。
俺はにこ、と笑う。
「私のお嬢様が見当たらないのですが……」
すると、空気が固まった気がした。
挙動不審に目を泳がせる。
――グルかよ。
「……ご存知ありませんか?」
目の前の女に詰め寄る。
「し、知りませんわ…ねぇ皆さん…」
「ええ、私たち知りませんわよ…爽サマ」
苛立ちがつのる。
俺は、女を壁に追いやった。
なぜか期待した目で見つめるそいつにムカついて、壁に拳を叩きつけた。
「いいから早く教えろって……俺の女、どこにいんの?」
ドスのきいた声に小さくなった女は震えて「校舎裏…です…」と答えた。
舌打ちをして、俺はまた、走り出す。