「失礼します」と言って入る。
奥の部屋に、ベッドに座る城山愛がいた。
「なに?」
………?
なんか怯えてんのか?
「…どうしました?」
「え?」
「怯えているように見えるのですが…」
「あ……ううんううん、ちがうちがう」
まずその首振り具合が挙動不審なんだけど。
「そうですか」
まぁ……いいっつってるからいっか。
俺は手に持った箱を差し出した。
「…なに、これ」
「私からのプレゼントです」
「開けていいの?」
「もちろん」
丁寧にリボンをほどいていく。
箱を開けると、青いボトルの香水。
「…香水?」
「はい」
「でも、これ、男モノ」
「私と同じものをご用意いたしました」
すると、いぶかしげに俺を見て手首にひと吹きした。
香りが広がる。
「…早坂爽と同じ…」
「はい」
「……櫂とちょっと似てるね」
…………櫂?
俺は眉をひそめた。