―――――…



「…ん…」


目をさますと、暗闇。


「私…いつのまにか寝た……?」

いや、ちがう。

どっちかというと『気絶した』だ。


あ、アイツはどこに行ったんだろう。


いなくなってればいいな。なんてこと思うと、


「あ…起きたか?」


いたりするんだな、これが。






パチ、と電気がつく。

突然の光に慣れなかった。

目を細める私に、早坂爽が近寄ってくる。


「……大丈夫ですか?」

「へっ」

早坂爽が敬語なことに驚いた。


「お身体のほうは、大丈夫ですか?」

確認するように問いかけてくる。

「あ、は、はい…」

なんだ、こりゃ。


さっきの、夢?


「ご主人様になってくれますか」なんて言われて、キスまでされて。


…まだ、やわらかな感触が残ってる。


夢じゃない、よね。



「え…あ、え…」

うろたえる私を見つめて、早坂爽は苦笑しながら一礼した。

頭が上がったときにはもう笑顔じゃなかった。





「…まさか気絶するなんて思わなかった。つか、キスごときで気絶すんなよ」