――チュンチュン。 遠くで雀が鳴いている。 目を閉じていてもまぶしい朝の日差しが憎い。 「…様。…嬢様…」 近くで声。 朝からうざいくらいに、甘ったるい声色。 「…だ、れぇ…?」 お母さんじゃなくて…… 男の人の、声。 手探りで探すが、手は宙をさまようだけ。 そうとう近いのか、その人の呼吸の音まで聞こえてくる。