すると突然、熱が去っていった。 ………早坂爽が離れたんだ。 ぐるぐるまわる頭でようやく理解した。 涙で少しぼやける視界に映る早坂爽は苦笑していた。 「…何で拒まねぇの?」 「…だっ…て」 拒めなかったんだもん。 なんて、言えない。 「まあ…俺としては好都合だけど」 言葉とは反対に優しく私の頭をなでる。 その手つきに、さっきの強引さはみじんもなかった。