「……で。何なんですか、これは」



私は自分のネクタイを指差した。

ネクタイになんらかの原因があるってことぐらい、バカな私にだって分かるんだ。

でも、爽サマは、しれっと


「…ネクタイですが?」


と言った。


「そんなことわかってますぅーーっ!!!」

反射的に立ち上がって叫んでしまったじゃないかーっ!!!



クスクスと笑いを漏らす爽サマ。



また、ニコリと笑う。




………ん?




私はその笑顔に違和感を覚えた。

なんか、違う。

さっきまでの王子様スマイルとは違う、なんか意地悪い…………



首をかしげる私を一瞥して、ククッって、また笑う。

爽サマのうすい唇が、動く。






「あんた、馬鹿?」






驚くほど低くて、冷たい声が、した。