「愛、お母さん3億円当たっちゃった」
うちのお母さんがそう言ったのが先月のこと。
私の家はシングルマザー。
お父さんは私が小さいときに死んでしまった。
そんなわけで、2人で細々と質素に暮らしてきた15年間だったけど……。
「……宝くじ?」
「そ、3億円当たっちゃった」
「……もうちょっと、マシなウソついて」
「ウソじゃないわよー、ほら、見なさい!!」
そう言って突き出してきた通帳には、3と、それに続く0が8こ。
本当に、3億、振り込まれていた。
「これでもう貧乏とはサヨナラよー」
そう言うお母さんは、今までに見ないほどの笑顔。
私は成金になるのなんかイヤだったけど、お母さんが喜ぶならそれでいい、なんて思った、のに。
「あ、そうだ!! 愛の高校、諸星学園にしておいたわよ!!」
お母さんがそんなこと言うから、私は大声を出すはめになってしまった。