だが、その愛が高校に入学する年。
自分が彼女の世話をすればいいのではないか、と思いついた。
笑わせてあげれればいいと思った。
ただ、それだけだったのに。
泣かせることしかできなかった自分に腹が立つ。
爽は自嘲気味に笑った。
その様子を美羽はおもしろくなさそうに見つめる。
自分以外の女に熱心な彼は見たくなかった。
だから、脅してまで引き離したのに、これでは意味がない。
美羽は、最終手段にでることにした。
「爽……」
「はい?」
「主人命令なんだけど―――」
もうすぐで長年の想い人が自分のものになるかと思うと、自然と笑みがこぼれた。