爽は思う。
あの日のことは全部、自分のせいだった、と。
外に出ようと言ったのも自分。
ふざけてて美羽を道路に突き飛ばしてしまったのも自分。
そして、あの人に助けを求めたのも自分。
事故で、自分だけが無傷だった。
倒れるあの人からはたくさんの血が出て、車と少し接触した美羽の胸も血に滲んでいた。
罪悪感でいっぱいだった。
だから、人知れず墓参りに行き、毎月金も送っている。
だが、美羽と顔の似た愛という女の子にしてやれることはなにもなかった。
あっちは覚えてないだろうが、あの人の葬式のとき、一度会っている。
泣く母親のとなりで、涙を必死でこらえていた。
笑うことも、泣くことも、できない姿。
あんな顔をさせているのは自分のせいだ、と何年も、気にしていた。