「……墓参り…です」



あのあと、美羽にしつこく聞かれた爽は、しぶしぶという様子で答えた。



「……お墓参り?誰の?」


その名前を出すと、美羽の機嫌は最悪になるだろうと爽は思った。

だが、言うほかない。




「……城山様の……」




『城山』という名前に美羽は顔をしかめる。

だが「………あ」と言うと笑顔になった。





「執事さんのほう?」





爽は息を吐いた。

一応、美羽も覚えていたみたいだ。

自分たちを助けてくれた、あの人のことを。