それは音をたてて割れ、絨毯を濡らす。



美羽は爽に抱きついた。




「爽……爽はあたしのものだよね?」


「…………はい、お嬢様」


「なら、あたしのお願い聞いてくれるよね?」





爽は押し黙った。


『日曜日の用事』は、毎年かかさず行っているもので、避けることは自分が許さない。


だが、一度美羽の機嫌を損ねると面倒だということも重々承知ずみだった。


離れない美羽に、小さくため息をついて、頷いた。






「……わかりました。どこに行くんですか?」







「やったあ!!爽だいすきっ!!」


OKをだしたとたん元気になるご主人様に、笑いを漏らす。








(日曜は早く行って、美羽が起きる前に帰ってこよう)




と、考えると同時に




前のお嬢様は良かったな、なんて思ったりもした。