部屋には私の泣き声だけ。
爽が特徴的だと言っていた櫂のにおいは、やっぱり爽と似ていて。
それもまた、涙を誘っちゃったりして。
「……愛ちゃん」
「…グス…なにー…」
「俺、愛ちゃん好きやから」
「私も…ヒック、すきだよ…」
「………………そーゆー意味やないんやけど………ま、ええか。さんきゅうな」
「私も…ありがと…っ…」
「俺、何にもしとらんよ?」
「こーやって、来てくれて……うれしい…」
ひとりだったら、こんな思いっきり泣いてないし。
爽のこと思いっきり責めてたかもしれないし。
櫂が来てくれたおかげで、ぜんぶ、ふっきれたような気がする。