「大丈夫だから」


私が笑うと、櫂の手が私の頬を両方向に引っ張った。

い、いたい、いたい。




「無理して笑うのはアカンで。つらい時は素直に言い」




そして「な?」と笑って、手を離してくれた。

…………櫂は、優しいな。



「………ありがとう」

「ん。困ったときはお互いサマや」

「………爽と話してみる」

「ちゃんと話すんやでー」

「うん」



ちゃんと笑った私を見て、櫂は教室を出て行った。










「……ねえ…あの軟派さん、愛のことすきなの?」

「へッ!!?何言ってんの皐月!!!?てか軟派さんって何!?」

「だって普通ここまで来ないでしょ」

「ち…違う違う。爽の友達だからだって」

「……ふーん…。ま、頑張ってね!!」

「う…うん!」






私は、爽との『契約の証』を握りしめた。