いやいやいや、私じゃないですよ。
そんなかわいい声してません。
でも、私じゃなかったら誰―――――
「爽ーッ!!!会いたかった会いたかったよ!!裸でお出迎えなんて流石サービス満点ーっ!!」
沈黙のなか、ひとり、爽にのしかかり叫ぶ女の子。
……………誰?
顔が、見えない。
すると、櫂が隣でつぶやいた。
「……み、はね…?」
その瞬間、私の顔がこわばったのはきっと、気のせいなんかじゃなくて。
「あ、はじめまして元ご主人様!今日からあたしが爽の主人でーすっ!!」
その嘘偽りのない笑顔に体すら動かなかった。