寮から学校まで、ほんとは車で行くらしいが、私は拒否。


暑いなか、ふたり並んで歩く。



………あつい。

体のいたるところから汗、汗。

横目で見る限り、私のとなり、爽の顔は文字通り爽やか。

しかも、私と自分の荷物を両手に持って、だ。

対する私は手ぶら。



「…荷物自分で持つ」

「……何度も申し上げますが、お嬢様に重たい物を持たせるわけにはいきません」

「えー、だって…」

「駄目です」

にこ、と笑う。

私の顔が、暑さのせいじゃない理由で赤くなった。



「…顔が赤いですね?どうしたんですか」



意地悪に問いかけてくる。

顔が赤い理由なんて、わかってるんだこいつは!

私の反応見て楽しんでるんだ、絶対!!



「暑いの!!」

「そうですか…お車で行けばすぐですのに」

「そんなお金持ちみたいなこと、したくないの」

「お嬢様は、お金持ちではありませんか?」

「ただ、宝くじが当たっただけ。私は庶民」

「…そうですか…」

クスクスと笑う。



ああ、また笑われた。



………でも



その笑顔に見とれる私って何なんだー!


心の中で叫んだ時、学校についた。