「り、椋介が転校ッ!?」
あの日から1週間ほどたって、突き付けられた事実。
椋介の口から聞けなかったコトがショックだった。
「……転校ってホント?」
「…あぁ。」
「…そっかぁ。」
「「あのさッ」」
私と椋介の声が重なった。
「あ…椋介から言って。」
「うん。……これ、やる。」
椋介は、私に1枚のCDを渡した。
「……これって?」
「お前の歌のCDだよ」
「……えッ……いいの?」
「……おぅ。……その代わり、歌止めんなよ。」
「…ぅん。」
「……俺、お前の歌…好きだから。」
私は、涙を必死でこらえた。
「あり…がとぉ…」
「絶対、止めんなよ。……………約束だぞ。」
私はコクンと頷いた。
「また……逢えるよね?」
私は震える声で言った。
「…当たり前じゃん。」
「……ホントに?………………約束だよ?」
「おぅ。」
椋介は笑った。
椋介は、あの約束を
もう忘れてるかもしれない。
……それでも良い。
次に逢う時には、
絶対、告白するんだ。
私は、あの日から
ずっと歌い続けてきた。
………アイツのために。