―――2年前―――





私とアイツは小学6年生だった。











「よぉ!恋菜!」

「あ、椋介!おはよ~」



私と龍原椋介【たつはら りょうすけ】は、名前で呼び合っていたケド、カレカノの関係ではなかった。








「なぁ!今日もアソコいこーぜッ!」

椋介が小声で言った。




私はOKサインを出した。




















―――キーンコーン





終わりのチャイムが鳴ると同時に、私と椋介は教室を飛び出した。















「よしっ!さぁ、やろぉぜ!!」

「ぅんッ♪」



私はギンガムチェックのノートを開いた。












「今日は!なんと、パソコンで曲を作っちゃいましたーーッ!!」


「うっそぉ!!」





「ホントだよッ!コレに合わせて歌って!!」




椋介は、ラジカセを出して、スイッチを入れた。












~~♪~~♪~





「わ、私の曲のイントロッ!?」



椋介が自慢そうに笑う。










私は、高鳴る鼓動を抑えて、息を吸い込んだ。














眩しい初夏の太陽の下で
無邪気に笑うアイツ

この胸のドキドキは

夏の暑さのせいかな?


あの日アイツと見た

星空は何よりも綺麗で

泣きたくなるほど


切なくなったよ














「マジ良いッ!!お前、サイコー!!」


椋介が私の頭をぶっきらぼうに撫でた。













――――トクンッ








私の胸はときめいた。




椋介のコトを好きになったのは、


多分、この時からだ。