薬師の骨ばった手が真っ白な頭巾を引き剥がすと、
その中に収まっていた、梳菜の麦色の髪が、枕に広がった。
その瞬間、突然のことに吉代は言葉を失い、梳菜は顔面蒼白となり…、
薬師は歯を剥き出して言った。
「……悪く思うな、悪く思うなよ!!
このご時世じゃ!!
こうでもして金を得んと、生きていけないんじゃ!!」
まるで、その言葉が合図だったかのように、
薬師の背後の襖が大きく開かれた。
そして入ってきたのは、二人ほどの人間。
身につけている着物、そして刀…。
それほど物知りでない梳菜でも、その二人組が誰なのかはすぐに分かった。