「誰しも出来ぬことは多い。
お主の場合は、人より僅かに口が達者でなかっただけのこと。
何も悪いことなどあるものか。」


男がとても饒舌に、梳菜を元気づけたのだ。



これまで、多くの人間に話し方を指摘され、馬鹿にされてきた梳菜にとって、そんなことを言われるのは生まれて初めてのこと。

だから思わず顔を上げて、


「え…?」


男をじっと見つめてしまった。