そして、萬天は答えた。


「“梳菜”……。

とても、優しい女子(おなご)だ……。」



振り返った拍子に、見せつけるかのような背中の傷がよりはっきり見えた。



「明日、拙は梳菜に会ってくる。


……会って、知ってほしいのだ。
拙が一体“何”なのか、を……。」



天狗だと…妖怪だと知ったら彼女はどう思うだろう。

受け入れてもらえるとは思っていない。
……だがもしかしたら、という淡い期待があるのも事実。

どちらにせよ、萬天は自分が何者なのかを、梳菜にはっきりと教えるつもりだ。