「……ふ、はは、す、済まん梳菜。
少々拙も、緊張していたものでな…。」


ふと、萬天が穏やかな表情を取り戻した。


「…梳菜、明日、ある場所に来てはくれないか?

そこで拙は、お主に大切なことを言いたいのだ。」


そう言うと萬天は、袖の中からひとつの小さな松ぼっくりを取り出した。
握ればすっかり手の中に隠れてしまうほどの、小さな松ぼっくり。

それを、ゆっくり梳菜の手に落とすと、


「紅蓮山の傍に、大きな松の木があるだろう?
そこで明日、拙は待っている。

必ず、来ておくれ。」