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昨日の晴天は嘘だったのか、今朝から外は陰鬱な雨だった。

洗濯も出来ない。
客足も良いとは言えず、女将の腹癒せかそうでないのか、梳菜は滅多に任せられない薪割りに勤しんでいた。


「……っしょ。」

重い鉈を何度も振り、固い薪をやっとこ割っていく。


労働の疲れに、梅雨のじめじめとした湿気が加わり、梳菜はもう何度目になるかも分からない、流れ落ちた額の汗を拭った。


割れども割れども薪は多く、とても一人では終わりそうにない。


もう一人ばかり手伝いを呼びに行こうと、足元に鉈を置いたときだった。