「なんだ、高い場所は苦手か、梳菜?」


萬天が可笑しそうに背を叩いてやると、梳菜はしがみ付いたまま首をぶるぶると横に振った。
それが強がりであることに萬天が気付かない筈がないのに。


「ま、萬天殿、は……、とっと、なので?」


鳥なのか?と問われ、萬天は答えを返すよりも先に、大きく笑い飛ばした。

梳菜がむっとして髪を掴むと、


「鳥ではないが、地を歩くよりは、このほうがずっと得意だ。」

「きゃ……!!」


その場で瓦屋根を強く蹴り、更に高く跳躍した。