「萬天殿、一体、どこへ参られるので?」

「まあ、じきに分かる。」



萬天が、両足でトンッと地面を蹴った。



が、足はまた地面に付くことはなかった。

何故なら、


「!?」


梳菜は萬天と共に、高く高く跳躍していたのだから。


頬を撫でる風が速い。

耳に聞こえる風音が、口笛の音に似ている。


ひうー、と風音が通り過ぎると、萬天はまた、トンッとある場所に着地した。