梳菜の返事を貰うと、萬天は自身の大きな手を、梳菜の小さな顔に当て、その双眸を覆い隠してしまった。

驚く梳菜の耳元に唇を寄せ、小さな声で囁く。


「これから、梳菜を良い場所に連れて行ってやろう。
少し目を瞑り、拙に抱えられてはくれまいか?」


少し、戸惑いはしたものの、聞こえるのは萬天の声。
何を不安に思うことがあろうか。

梳菜は、緊張と期待で手を強く握り合うと、しっかりと頷いた。



と、同時に、体がふわりと浮いたのが分かった。

同時に腹の辺りを抱えられる感覚があったため、萬天に担ぎ上げられたのだろう。


約束通り目を瞑ったまま、梳菜は萬天の肩に腰掛ける形となった。