最近、梳菜は接客よりも掃除や裏方の仕事を任されるようになっている。

髪色と瞳があるためあまり人前に出ないほうが良いのだろう。


「梳菜。」


萬天が顔を出すと、梳菜は紫陽花の前にしゃがみ、ハサミで花を何本か切り取っているところだった。


「! 萬天殿!
今日も、来てくだすったのですね…!」

梳菜は嬉しそうに微笑むと、ハサミを置いて萬天の傍まで駆け寄ってきた。


自分よりずっと背の高い男を見上げると、男も同じように自分を見下ろしている。