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二匹の妖怪が笑い合う丁度その時、



一人の天狗と一人の少女は、天狗の肩に乗り、広い空を舞い泳いでいた。


天狗は、少女が最後まで大事に持っていた松ぼっくりを。

少女は、天狗が我が身を護ってくれた壊れた髪飾りを握り締めて。



「萬天殿。」

「ん?」

「萬天殿は、臆病者ではありまへん。

萬天殿は例えるなら、赤の颯(はやて)です。」


「ほう、意味は?」


「赤い、風そのものです!」



「嬉しいことを言ってくれるな。」



夕映えに照らされた羽織は、風となってどこまでも空を進行していく。