視線を感じ、萬天は少し躊躇いもしたが、 真っ直ぐ梳菜の目を見つめると、言った。 「梳菜…。 拙は、人間ではない。 拙は妖怪……。 それも、神通力を持つ、強力な妖怪だ。 ……お主がいつか言った“とっと”は、間違いではないよ。」 薄く浮かんだ笑顔と共に、萬天の背中に、二枚の大きな黒い翼が現れた。 カラス色をしたそれは、自分がまさに、“天狗”であることの証。