病で長くは生きられない。 それなのに、こんなところで…こんな形で死ぬなんて。 ―――まだ、あのお人に…逢っていないのに……。 じきに、太陽は既に西へ傾きつつある。 こうしてる間も、萬天は自分を待ってくれているかもしれないのに。 死への恐怖。 逢えないことへの口惜しさ。 ……それらを考えると、自分の意思に反して、涙とは流れてくるもの。