「………すまぬ、梳菜……。」


【………。】


萬天の手から、急に力が抜けた。


押さえつけられていた邪鏡は自由の身となり、もと立っていた場所に、再度両足をつく。

無言のまま。



【……決断、なされたか?】


邪鏡の、どこか冷たい問いかけに、


「………ああ。」


萬天は、はっきりとこう答えた。