【萬天様。 何故いくら待っても、“あの娘”が現れぬのか…、本当にお分かりにならなかったので?】 ……そう。 真っ先に浮かんだのは、 梳菜の、麦色の髪だった。 「梳菜に…っ、何かしたのか!?」 萬天は弾かれたように、邪鏡に詰め寄った。 その胸倉を掴み上げると、絞め殺さんばかりの勢いで問う。