「………くし……、」


萬天がまた、梳菜の名を呼ぼうとした時だった。




【見つけたぞ……穢れた同胞……颯(はやて)の萬天坊……。】




「ッ!!!」


すぐ背後から、彼にとって聞き慣れた声が聞こえた。

林火のものとはまた違う、地の底から響いてくるような声…。


「……小天狗の分際で……ッ、拙の名を気安く呼ぶな…!」