「千鶴、私、こんなやつと仲良くないから!」



「てめっ!

それはこっちのセリフだ!」




火花を散らすようにいがみ合う。



うー、と犬のようにうなりながら美波の睨みを一身に浴びる俺。



負けじと睨み返すが、いかんせん効果がない。



前にも言ったが、こいつの睨みには妙な迫力がある。



睨まれているだけで、何だかこっちが負けた気になるのだ。




「ふーんだ!」




つん、とそっぽを向かれた。



何だかその仕草がちょっと子供っぽくて思わず笑いそうになる。



こいつが気づいているかどうかは知らないが、美波はところどころ子供っぽい。



無理に背伸びをして大人ぶる子供と言ったところか。



そのため、ちょくちょくぼろを出すのだ。