千鶴の部屋に散乱した折り鶴の山。



千鶴は、いったいどんな思いでこんなにたくさんの鶴を折ったのだろう。



ただ、弟が元気になってほしかった。


たった、それだけのためにここまで人はボロボロになるのか。




「千鶴…お前の弟はいないんだ。

死んだんだよ…

だから、こんなことしても…」



「ちがい…ます………

生きてますよ………」



「………っ!!!」



たまらず、俺は千鶴の体を揺らしながら声を荒げた。



「ちがうっ!!!

お前の好きだった弟はいない!!

死んだんだよ!!!
翼くんは、死んだんだ!!!」



自分で言ってて、なんて残酷なやつなんだろうと思う。


俺は今、千鶴の心を壊そうとしているのかもしれない。


傷ついた千鶴を、さらに傷つけているのかもしれない。



でも、言ってやる。


俺は言うのをやめない。



「だからもうやめろっ!!!

こんなボロボロになってまで何してんだよ!!?」