たまらず、俺は千鶴の手を掴んだ。



「もういい…

もういいから………!」



ふいに涙がこぼれそうになる。



悲しかった。


そして、悔しかった。



こんな状態の千鶴を、俺は何で今まで放っておいた?


何で側にいようとしなかった?



馬鹿だ。


俺は、本当に馬鹿だ。




「………鶴」



そこで、千鶴が言葉をもらした。


今にも消えてしまいそうな、そんなか細い声。



「鶴を…折るんです………

翼の病気…それで治ります…」



「………!」



翼くんの病気が治る?



何を言っているんだ?


翼くんはもう………




『あの子…千鶴は翼の死を受け入れられてないの』




………ああ、そういうことか。



だから、受け入れられてない。


千鶴の中では、翼くんはまだ死んでいないのだ。