憔悴しきった顔。


そこに俺の知る千鶴はいなかった。



冷めきった、感情のない瞳で黙々と手を動かす。



「千鶴…?」



声をかけても反応はない。


折り鶴を作っては投げ捨て、作っては投げ捨ての繰り返し。



まるで、機械だ。


感情のない、ただ、与えられた作業を黙々と繰り返す。



「お、おい………」



俺の言葉にぴくりとも反応しない。


まるで、千鶴の体だけが作業を続け、心だけはどこかに置き忘れてしまったようだった。



たまらず、千鶴の肩をつかみ、自分の方を向かせる。



「何してんだよ…!

こんな…こんなにボロボロになってまで何してんだよ!?」



思わず声を荒げる。


だが、千鶴に反応はない。


虚ろな瞳で、視線の定まらない顔をしている。



「………っ!」



そこで気づく。


千鶴は俺なんか見ていなかった。



鶴を作っているのであろうその手は、今も空をきってその作業を続けている。