コンコン


二回、ノックをする。



二階にある千鶴の部屋。


こんなときになんだが、身内以外の女の子の部屋に入るのは初めてだ。



「千鶴、俺だ。

ちょっと話があるんだが、入ってもいいか?」



だが、返事はない。


まあ、これは事前に聞かされていたことなので、俺は気にせずドアノブに手をかける。



「………入るぞ」



そう言って千鶴の部屋に入る。



室内は真っ暗だった。


うっすらと見える部屋は、千鶴らしくぬいぐるみがたくさんあり、なおかつ整理されている。


ただ、妙なことに、床にだけは何かが散らかっていた。




この部屋のどこかに千鶴がいる。



俺はグッと目を凝らし、千鶴の姿を探した。



すると、だんだんと慣れてきた目が、机のあたりにいる人影をとらえる。



何やらカサカサという物音の発生源。


それが千鶴だった。




俺はとりあえず部屋の入り口付近にスイッチがあるのを見つけ、部屋の電気をつけた。