「それで…今日はどういったご用件かしら?」



リビングに通され、お茶を出される。


俺へ尋ねているようだが、多分、この人は俺が何でここに来たのか分かっている。



「千鶴に…会いにきました」



俺はおもむろに口を開いた。


俺の言葉に千鶴のお母さんは何も言わなかった。



今、この人は何を思っているのだろう。


変なやつだと思われていないだろうか。



「………あのね、高橋くん」



「はい」



「今………あの子に会うのはあまりおすすめできないわ」



「……………」



室内に重い空気が漂う。



わかってはいた。


今、千鶴に会うことが必ずしもプラスになるわけじゃない。


美波の言葉にハッとして、そのまま来てしまったが、それで本当に千鶴をどうにかしてやれるのかは分からなかった。